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電子契約で行う不動産取引とは?メリットについて

近年、不動産取引でも普及が進む電子契約。当ページでは、不動産取引における電子契約の特徴やメリット、注意点などを詳しく解説しています。

不動産取引における電子契約とは?

不動産取引における電子契約とは、従来のような紙の書面ではなく、電子データを用いて不動産の売買契約を締結する方法を指します。インターネット上で契約書の作成や送付、さらには保管まで完結できる点が大きな特徴です。

これまでの不動産取引では、印刷した書類に署名・押印し、対面や郵送でやり取りした後に原本をファイリングして管理する方法が一般的でした。一方で電子契約は、PDF形式などのデータを用いて印影の代わりに電子署名やタイムスタンプを付与する方法となります。

電子契約の法的効力は紙の書面と同じです。印紙税や郵送費といったコストの抑制に加え、場所を問わず内容を確認できる点も電子契約の特徴です。

令和3年の法改正で電子契約が徐々に行われるように

不動産取引の現場で電子契約の導入が進んだ背景には、令和3年に成立したデジタル関連法、および宅地建物取引業法の改正が深く関わっています。この法整備によって重要事項説明書や契約締結時の書面を電磁的な方法で交付することが可能となり、また、宅地建物取引士による書面への押印義務も廃止されました。

これら規定の緩和を受け、2022年5月18日からは売買や賃貸の契約において本格的な電子契約の運用がスタート。不動産事業者を対象とした意識調査では、多くの事業者が電子契約への移行を前向きに捉えていることが確認されました。すでにシステム導入や業務フローの見直しに着手している事業者も一定数存在するなど、法改正を境として、不動産業界全体に電子化の流れが着実に浸透している状況です。

参照元:国土交通省|不動産取引時の書面が電子書面で提供できるようになります。(https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00036.html

電子契約で家を購入するメリットは?

電子契約を活用して住まいを購入する際、ひとつの利点として挙げられるのが印紙税の節約です。従来の紙による売買契約では、取引金額に応じた収入印紙の貼付が義務付けられていました。しかし、電子文書は課税対象の文書に該当しないため、本来支払うべき印紙代を新生活の準備資金や購入諸経費に充てることが可能になります。

また、電子契約においては「電子署名」と「タイムスタンプ」が付与されますが、これらの手続きにより、合意した当事者が明確になり、かつ内容に改ざんがないことも客観的に証明されます。専用のクラウドサービスを利用すればデータの書き換えを検知する機能が働くため、物理的な書類管理に比べ、むしろ高い透明性を確保できるでしょう。クラウド上の契約書はデータとして蓄積されるため、紛失のリスクを抑えられるほか、引き渡し後に内容を見返したいときも検索機能ですぐに目的の箇所を確認できる点もメリットです。

ほかにも共働きや育児に追われるご家庭にとっては、場所を選ばず手続きを進められる点も大きな魅力となるのではないでしょうか。対面での契約とは異なり、不動産会社と何度も日程調整を繰り返す必要がなく、かつ書類の郵送を待つタイムラグも発生しません。署名や内容確認をオンラインで効率よく進められるため、時間的な制約がある家庭でも円滑に契約締結まで至ることが可能となります。

電子契約で家を買う場合の注意点

電子契約による住宅購入には多くの利点がある反面、あらかじめ留意すべき点も存在します。

まず、パソコンやスマートフォンの操作に不慣れな方や通信環境が不安定な家庭では、画面上での重要な確認事項を見落としてしまう可能性がある点に要注意。操作に不安を感じる際は、不動産会社に対して画面共有による説明や対面での補足サポートを受けられるかどうかについて、事前に確かめておくようにしましょう。

また、電子データを用いる以上、情報漏えいやなりすまし、データの改ざんといったサイバーセキュリティ上のリスクを完全に排除することは困難です。不動産会社を選ぶ際には、二要素認証や厳格なアクセス制限、タイムスタンプなどの防御策を講じた信頼性の高いシステムを採用しているかどうかについて、しっかりと確認しておきましょう。

なお、現行の制度ではすべての書類が電子化に対応しているわけではなく、依然として紙での書面交付が義務付けられている手続きも一部残されています。どの書類がデジタルで完結し、どの書類で実物の書面が必要になるのかを早めに把握し、ご自身のライフスタイルを踏まえながら円滑な手続きの流れをスケジューリングしましょう。

電子契約で住宅を購入する場合のポイント

電子契約で住宅を購入する際、まず確認しておきたいのが不動産会社側の対応状況です。法改正によって電子契約が認められたとはいえ、すべての不動産会社が電子契約を導入しているわけではない点を理解しておきましょう。

また、電子契約ではパソコンやスマートフォンの画面上で重要な書類を確認するため、場合によっては細かな条文を見落とすリスクが生じます。できれば画面の大きなタブレットやPCを用意し、落ち着いて内容を精査できる環境を整えましょう。あわせて、契約の各段階でどのような認証作業が必要になるか、事前にデモ画面などで操作感を確認しておくと安心です。

加えて、家族間での情報共有も欠かせないポイントとなります。紙の契約書とは異なりリビング等に置いておくことができないため、契約データの保存先や閲覧パスワードを夫婦で共有し、いつでも双方が内容を確認できる状態にしておくようにしましょう。

電子契約で住宅を購入する流れ

購入申し込み

電子契約で住宅を購入する場合も、まずは物件の購入申し込みから手続きが始まります。希望する物件が決まったら、購入希望価格や引き渡しの時期、住宅ローンの利用予定などを申込書に記載して不動産会社へ提出し、その内容を軸に条件交渉が進められる流れとなります。

重要事項の説明

購入申し込みの次は、売買契約の締結前に「重要事項説明」を受けるステップへと移ります。電子契約を採用する場合でもこのプロセスを省くことはできず、宅地建物取引士によって対面またはオンライン形式で実施されます。オンラインでの説明(IT重説)の際には、事前に重要事項説明書や図面などの資料データが共有され、買主は手元のパソコンやタブレット等で内容を精査することになります。

説明の開始前には、通信環境の安定性やカメラ・マイクの作動状況に加え、宅地建物取引士証が画面越しに提示されるかといった点も確認事項に含まれます。非対面の場であっても、費用項目や周辺環境、契約解除に関する条件などは遠慮なく質問しましょう。疑問点を解消せずに手続きを急ぐと、契約後のトラブルを招く恐れがあるため、十分に納得できるまで説明を求めてください。

なお、オンライン形式であれば、説明の様子を録画保存しておくことで、後から内容を正確に振り返ることもできます。

契約書面の電子交付

重要事項の説明後、売買契約書をはじめとする諸書類が電子データとして交付されます。一般的には、不動産会社が専用の電子契約サービスへ書類をアップロードし、買主のもとへ閲覧用URLや案内通知が届く形となります。

買主は自身の端末からシステムへログインし、重要事項説明で受けた内容と契約書の記載に相違がないかをチェックし、物件の現況や代金の支払期日、違約金、ローン特約といった重要項目を改めて自身の目で確認します。

契約締結

契約書面の内容に不備がないことを確認した後は、電子署名を行って正式に契約を締結します。多くのサービスでは、メールで届くリンクから専用画面にアクセスし、ワンタイムパスワードによる本人認証や署名欄への入力を済ませることで手続きが完了します。

売主や仲介会社も含めた全当事者の署名が揃った時点で契約は成立し、締結済みのデータはクラウド上へ保管される仕組みです。売主側・買主側の双方においては、契約完了後のPDFデータをダウンロードし、自身のパソコンやクラウドストレージへバックアップを取っておくことが望ましいでしょう。