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当記事では、マンションの修繕積立金の値上げについて、主な原因や値上げ傾向、そして支払えずに滞納してしまった場合のリスクなどを解説しています。
完成年次が新しいマンションの多くは、段階増額積立方式を採用しています。2010年以降に完成したマンションのおよそ7割が、この方式です。新築分譲時の修繕積立金の負担額を低く設定し、数年ごとに徐々に増額していく方式であり、値上がりしやすい仕組みになっています。
参照元:ファンズ不動産マガジン(https://funds.jp/sell-guide/apartment-repairreserve-fund-up-about11/#index_id19)
近年の物価高や円安による影響を受け、工事に必要な建築資材や人件費が高騰していることも、マンション修繕積立金が値上がりする原因のひとつとなっています。もともと予定していた修繕費用では足りなくなるケースが増えているのです。
建築資材の高騰の背景には、ウッドショックの発生もあげられます。集成材と製材の輸入物価指数に関していえば、ここ数年で2倍以上になったという分析もあります。感染症の流行によりアメリカで住宅需要が増加したため、それまで日本に輸出していた木材をアメリカ国内で消費するようになったのです。このことも、事態の悪化に拍車をかけています。
参照元:イツトナLIVES(https://itsutonalives.com/column/surasura/condominium-price-rise/)
当初の長期修繕計画の精度が低く、また工事にかかる費用の見通しが甘い場合などは、途中から修繕積立金の値上げを実施せざるを得なくなります。
一般的に、計画の見直しは5年程度のスパンで実施されることが多いですが、その際、給排水管や消防設備などに必要な工事費を低く見積もり過ぎているケースが少なくありません。自然災害などによる想定外の修繕なども計算に入れていないケースがあります。長期修繕計画に基づいて修繕積立金の額を算出するなどのプロセス自体を経ていない管理組合もあるようです。
また、管理会社に丸投げしている場合も、修繕積立金の値上げという事態に陥りやすいです。本来は所有者により構成される管理組合で担当すべき実務を管理会社に任せきりにしているため、相見積もりなどをせず、親しい施工業者に依頼してしまうなどのケースも少なくないのです。
国土交通省による「マンション修繕積立金に関するガイドライン」からも、10年間で修繕積立金の目安額が大幅に上昇していることがわかります。 平成23年から令和3年の改訂までの間に、マンションの規模に関係なく、修繕積立金の額が上がっているのです。
たとえば、専有面積75平方メートルの部屋の場合、ひと月あたりおよそ4,000~1万円増加しています。上昇率が特に大きいのは、5,000平方メートルに満たないマンション、そして20階以上の高層マンションです。
実際、マンションの居住者の6割以上は、修繕積立金と管理費を合計すると毎月2〜4万円を負担しており、家計が圧迫されています。一般的な世帯における固定費の中で、無視することのできないほどの高水準であり、数千円の値上げであっても年間ベースで計算すると決して小さくない負担の増加となっているのです。値上げに対する人々の心理的ハードルは、非常に高まりやすい状態にあるといえます。
参照元:国土交通省|マンションの修繕積立金に関するガイドライン 平成23年4月 令和6年6月改定[※PDF](https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001747009.pdf)
参照元:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000131.000102050.html)
建築延べ床面積が狭い50戸未満の小規模なマンションは、おのずと一戸あたりの修繕積立金の負担が大きくなりやすいです。また、20階以上あるようなタワーマンションも、負担が大きい場合が多いです。戸数は多いものの、枠組み足場を使用して修繕を行う一般的なマンションよりも費用がかかるためです。
また、機械式駐車場などがあるマンションでは、そのメンテナンス費も無視できない金額になります。1台あたり数千円を加算せざるを得なくなります。さらに、車離れが進む現代、当初見込んでいた駐車場収入に満たない場合などは修繕積立金に影響する可能性もあるのです。
参照元:ファンズ不動マガジン(https://funds.jp/sell-guide/apartment-repairreserve-fund-up-about11/#index_id22)
参照元:国土交通省|住宅【PDF】(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001707279.pdf)
修繕積立金の値上がりにより支払いが困難になった結果、滞納が続いてしまうと、最終的にはマンションを失うリスクが生じます。支払いの求めに適切に対応しない場合には、競売請求が行われる事態に陥る可能性があるためです。競売に至るまでの大まかな流れは、次のとおりです。
支払の滞納があったとしても、それは管理組合に対する滞納であるため、個人信用に影響が及ぶことはありません。個人の信用情報を扱う株式会社CICなどは、加盟している銀行や法人などに関連する滞納について信用情報の登録を行う機関であり、マンションの管理組合は対象外なのです。
とはいえ、許容範囲を超えるほど修繕積立金や管理費が大幅に値上がりするようであれば、将来的にはマンション売却を視野に入れるつもりであるという方が、約半数に及ぶという調査結果もあります。過度な値上げが、売却や住み替えを検討させる要因になっていることがわかります。
参照元:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000131.000102050.html)
家計が圧迫されるような事態に陥るのを回避するためにも、マンションが採用している修繕積立金の方式が「均等積立方式」「段階増額積立方式」のいずれであるのか確認しておくことが大切です。
共用設備が充実しているにも関わらず、修繕積立金の額が低すぎると感じる場合には、将来徐々に値上げが行われるリスクが高いためです。また、駐車場代が管理費に含まれているかどうかも把握しておきましょう。設定されている金額が適正水準であるか否かを、マンションを購入する前にチェックするようにしましょう。
マンションを購入し、すでに居住している場合には、管理組合の集まりに積極的に参加するようにしましょう。管理会社に任せきりにしておくと、例えば相見積もりを行わず、修繕見積もりが相場より高くなっているケースなども珍しくないのです。
それでも値上げを防ぐことができなかった場合には、家計の見直しや分割払いの相談などを試してみてください。長期的な視点から、支払いを継続することが困難であると判断した場合には、売却や住み替えなどを検討し、競売を回避することが大切です。
建物の状態を維持するため、修繕積立金の値上げを回避するのがどうしても難しい側面があるのも事実です。そのため、マンションを購入する際には、長期計画の内容や修繕積立金の変更予定の有無などをもれなく確認しておくことが重要です。
購入して入居を始めた後、仮に支払いが困難になってしまったら、放置するのではなく、管理会社に相談したり、場合によっては売却も選択肢に含めるなどして、慎重に検討してみてください。