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住宅ローンの団信は、原則として申込時にしか特約を選べない保険です。後悔しないために、保障範囲・コスト・告知のポイントを押さえて選びましょう。
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンの返済中に債務者が死亡したり所定の高度障害状態になったりした場合に、生命保険会社が住宅ローン残高に相当する保険金を金融機関へ支払い、残債を完済する保険です。万が一のことがあっても、家族はローンを負わずにそのまま住み続けられます。
一般の生命保険との主な違いは以下のとおりです。
| 項目 | 団信 | 一般的な生命保険 |
|---|---|---|
| 契約者・受取人 | 融資した金融機関 | 任意で指定 |
| 保障額 | 住宅ローンの債務残高 | 任意で設定 |
| 保険期間 | 住宅ローンの返済期間 | 任意で設定 |
| 保険料の支払い | 金利への上乗せが一般的 | 個別に支払う |
| 中途解約 | できないのが一般的 | 可能 |
| 生命保険料控除 | 対象外 | 対象 |
団信の保険料は年齢や性別ではなく借入額と借入期間で決まるため、頭金で借入額を抑えれば負担も小さくなります。
一般団信の保障対象は、死亡と高度障害状態です。多くの銀行では金利上乗せなしで全員が加入します。フラット35の新機構団信は死亡と所定の身体障害状態が対象で、告知日時点で満15歳以上満70歳未満の方が加入でき、保障は最長満80歳までです。がんや脳卒中で働けなくなっても、これらの状態に該当しなければ残債は残る点を理解しておきましょう。
参照元:りそな銀行(https://www.resonabank.co.jp/kojin/jutaku/danshin/index.html)
参照元:ドコモSMTBネット銀行(https://www.netbk.co.jp/contents/gen/flat35/benefit/)
特約付き団信は、保障範囲が広がるほど上乗せ金利が高くなるのが一般的です。主な種類と保障内容を確認しましょう。
フラット35の新3大疾病付機構団信は、死亡・身体障害状態に加えて3大疾病と要介護2〜5の状態まで保障します。借入金利は新機構団信付きの金利に年0.24%上乗せされます。
参照元:りそな銀行(https://www.resonabank.co.jp/kojin/jutaku/danshin/index.html)
参照元:ダイヤモンド不動産研究所(https://diamond-fudosan.jp/articles/-/1110085)
参照元:ドコモSMTBネット銀行(https://www.netbk.co.jp/contents/gen/flat35/benefit/)
特約の要否は、上乗せ金利を「毎月いくら増えるか」に換算して判断するのが基本です。返済期間35年・元利均等返済で金利が0.3%上がった場合の増加額は以下のとおりです。※なお、借入金利が高いほど上乗せによる増加額は大きくなります。
| 借入金額 | 金利0.525% | 金利0.825% | 差額(月額) |
|---|---|---|---|
| 3,000万円 | 78,207円 | 82,261円 | 4,054円 |
| 4,000万円 | 104,276円 | 109,681円 | 5,405円 |
| 5,000万円 | 130,345円 | 137,101円 | 6,756円 |
3,000万円の場合、単純計算で35年間に約170万円(4,054円×420回)の負担増です。この月額を民間のがん保険・医療保険の保険料と比べ、割安な方を選びましょう。ただし民間保険は加入年齢が高いほど保険料が上がる点も考慮が必要です。
参照元:ダイヤモンド不動産研究所(https://diamond-fudosan.jp/articles/-/1110085)
日本人が生涯でがんと診断される確率は、男性61.1%、女性50.1%で、いずれも2人に1人です(2023年データに基づく)。
リスクに備えるうえでは、保障の数よりも支払条件の確認が重要です。「診断されたら」なのか「60日以上継続したら」なのか、残高が全額保障されるのか「半額」「入院月のみ」なのかは商品ごとに異なります。借入日から90日以内に診断確定したがんは対象外となる場合もあります。
参照元:国立がん研究センター がん統計(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html)
参照元:りそな銀行(https://www.resonabank.co.jp/kojin/jutaku/danshin/index.html)
団信の特約は、原則として住宅ローンの申込時にしか手続きできません。機構団信は返済途中からの加入ができず、新機構団信と新3大疾病付機構団信の途中変更も不可です。特約付き団信には年齢制限もあり、新3大疾病付機構団信は満51歳未満、りそな銀行の特約付団信は50歳以上だと申込めません。
参照元:ドコモSMTBネット銀行(https://www.netbk.co.jp/contents/gen/flat35/benefit/)
参照元:りそな銀行(https://www.resonabank.co.jp/kojin/jutaku/danshin/index.html)
死亡保障は「必要保障額−住宅ローン借入額」で考えます。たとえば必要保障額が8,000万円、住宅ローンが3,000万円なら、民間の生命保険で備えるのは残り5,000万円で足ります。逆に4,000万円の生命保険に入ったまま3,000万円の団信に加入すると、死亡保障は合計7,000万円となり、過剰になっている可能性があります。ただし完済後もリフォーム費用などがかかる点は考慮しましょう。
参照元:ファイナンシャルフィールド(https://financial-field.com/insurance/entry-190034)
参照元:みずほ銀行(https://www.mizuhobank.co.jp/loan_housing/faq/loanguide/lifeplan/article05/index.html)
団信が保障するのは死亡や特定の疾病など限定的で、治療費や休業による収入減はカバーされません。特に精神疾患は、一般団信では「終身常に介護を要する状態」でなければ対象にならず、うつ病で働けなくなっても残債が免除される可能性は低いです。
収入減への備えには、精神疾患も保障する就業不能保険が有効です。預貯金で治療費や収入減を補える場合は、医療保険を最低限にする選択肢もあります。
参照元:ダイヤモンド不動産研究所(https://diamond-fudosan.jp/articles/-/1110085)
団信の保障は住宅ローンの完済とともに終了します。生命保険は年齢が上がるほど加入条件が厳しくなるため、完済後に新たな保険へ入ろうとしてもハードルが高くなりがちです。完済後に無保険状態にならないよう、老後資金や教育費は団信とは別枠で備えておきましょう。
フラット35の新機構団信では、主に以下を告知します。
なお、カーディフ生命(PayPay銀行の団信)の例では、薬を受け取っているだけでも、最初の受診日から直近の受診日まで2週間以上あれば告知が必要とされています。一方、告知に該当する病歴があっても、完治しているなど状態によっては加入できる場合があります。
参照元:ダイヤモンド不動産研究所(https://diamond-fudosan.jp/articles/-/1110085)
参照元:PayPay銀行(https://www.paypay-bank.co.jp/mortgage/insurance/column/article2.html)
告知義務違反をすると、万が一の際に保険金が支払われず、ローン残高が家族に残る可能性があります。違反が悪質な場合は、責任開始日から2年が経過していても契約が取り消されることがあります。正しく告知するコツは次の3つです。
なお、金融機関の担当者に口頭で伝えるだけでは告知にならないため、必ず告知書に記入しましょう。
参照元:PayPay銀行(https://www.paypay-bank.co.jp/mortgage/insurance/column/article2.html)
一般団信に入れない場合は、引受基準を緩和した「ワイド団信」を検討しましょう。三菱UFJ銀行のワイド団信は高血圧症・糖尿病・脂質異常症などの持病があっても加入できる場合があり、住宅ローン金利に年0.3%上乗せされます。対象はお借入時18歳以上50歳の誕生日までです。
引受基準は保険会社ごとに異なるため、別の金融機関で改めて審査を受けると加入できることもあります。
フラット35(買取型)は団信に加入しなくても利用でき、その場合の金利は新機構団信付きの金利から0.2%下がります(※保証型は団信加入が必要です)。ただし万が一の際は残債を遺族が返済することになるため、家族と十分に検討しましょう。
参照元:三菱UFJ銀行(https://www.bk.mufg.jp/kariru/jutaku/kanren/widedanshin.html)
参照元:ダイヤモンド不動産研究所(https://diamond-fudosan.jp/articles/-/1110085)
参照元:ドコモSMTBネット銀行(https://www.netbk.co.jp/contents/gen/flat35/benefit/)
団信は、一般団信の保障範囲を理解したうえで、がんや3大疾病の特約を「上乗せ金利の総額」と「支払条件」で比較して選ぶことが大切です。特約は原則として申込時にしか付けられないため、加入中の生命保険・医療保険と保障の重複や不足がないかをあわせて確認しましょう。持病がある場合も、正しく告知したうえでワイド団信やフラット35など複数の選択肢を検討してください。